緑内障手術
緑内障手術
日本人における視覚障害の原因疾患の第一位は緑内障です。治療せずに放っておくと失明につながるおそれがあります。40歳以上の日本人の20人に一人が緑内障と言われております。
緑内障は視野(見える範囲)が徐々に狭くなってくる病気です。しかしながら、片目に見えない部分があっても、両目では見えるためにかなり進行するまで病気に気付かないことがほとんどです。
また緑内障は目の神経に異常をきたすため、治ることはなく一度進行してしまえば元には戻らない病気です。そのため、健康診断などの定期的な検査が重要となっております。
緑内障を早期に発見し、早期治療をきちんと受け、治療を継続していくことが大切です。
★当院ではハンフリー静的視野計検査を用いて視野検査を行っています。この検査は、最初は慣れが必要で検査結果が大きくばらつきが起こることが知られております。ある程度結果が安定するまでに4-5回は検査を受けて頂く必要があるので当院では、初めて緑内障と診断された患者様には4ヶ月毎の視野検査を勧めさせて頂いております。視野検査の結果が悪化する場合には治療を変更、強化していく必要があります。
緑内障手術の目的は失われた視野を取り戻すことではなく、眼圧を下降させる、もしくは眼圧の変動を少なくすることです。緑内障によって失われた視野はいかなる方法でも元に戻すことは出来ませんので、早期に眼圧治療を行うことがとても重要です。
しかしながら日本人の緑内障は正常眼圧緑内障と呼ばれる一見眼圧が正常にもかかわらず視野障害が進む病型が多いと言われております。正常眼圧緑内障では眼圧による機械的障害だけではなく、眼血流による循環障害の影響があると言われています。眼循環に対する治療介入は困難な場合が多く、眼圧が高い緑内障と同様に眼圧を下げることが一般的な治療とされています。
手術方法は大きく3種類に分かれます。1つは眼房水の産生を抑制する手術(毛様体破壊術)、2つめは房水流出路抵抗を下げる手術(流出路再建術)、3つめは房水を眼外に濾過する手術(濾過手術、インプラント手術)です。
本邦では濾過手術がすべての状態の緑内障に適応となりますが、流出路再建術では視野変化の軽い一部の緑内障の方が適応となります。
線維柱帯切開術とも呼ばれます。房水は毛様体から産生され隅角から線維柱帯を通ってシュレム管へと排出されます。この線維柱帯を物理的に切開することで房水排出抵抗を軽減し、眼圧下降を得ることができます。
切開方法によって金属プローベを使用する古典的線維柱帯切開術と、糸を使用するスーチャートラベクロトミー、フックを使用し眼内から切開するマイクロフックロトミーなどがあります。当院では白内障手術と同時にマイクロフックロトミーを行うことも可能です。早期緑内障の方で白内障手術を受ける方はマイクロフックロトミーの同時手術を受けることで眼圧下降や点眼本数を減らすことが可能となる場合があります。
また当院では選択的レーザー線維柱帯形成術と呼ばれるレーザーで眼圧を下降させる治療も行っております。患者様毎に適切な治療方法をご提案いたします。
線維柱帯切除術とも呼ばれます。線維柱帯切開術とは異なり、強膜(白目)の一部と一緒に線維柱帯の一部を切除し眼外に房水を逃がす手術です。眼圧下降効果が高い一方で、過剰な低眼圧や創傷治癒による眼圧再上昇、感染症などの術後管理や合併症が課題としてあります。
当院では古典トラベクレクトミーに加えて、特殊な金属でできているチューブを挿入して房水を眼外に逃がすExpress手術を行うことも可能です。Expressは濾過量を安定させることで周術期の合併症を軽減する一方で、古典的手術と同等の眼圧下降効果を得られると考えられています。しかし、金属アレルギーがある方や一部の緑内障では入れることができないことがありますので、詳細は担当医にご相談ください。